第12回 ひきこもりについて、ひきこもりで得られたものは!?

DJ「はい、皆さんこんにちは!DJのむっちゃんです!今日(今回)は大阪市内にある、『PSIカウンセリング』の事務所に来ております。今回のゲスト、竹内 佑一(たけうち ゆういち)さん、PSIカウンセリングの代表をされています。」
竹内先生(以下先生)「よろしくお願いします!」
DJ「よろしくお願いします!わざわざ、お時間を割いていただきまして、ありがとうございます。」
先生「いえいえ、とんでもないです。」
DJ「(さっそく)、質問の方、よろしいでしょうか?」
先生「はい、大丈夫です。」
DJ「(質問1)PSIカウンセリングさんの事務所を立ち上げられた、きっかけを…」
先生「きっかけですか?」
DJ「教えていただければと思いまして。」
先生「わかりました。僕自身の話をすることになるので、ちょっと、恥ずかしいんですけど、私が実は家庭が…父と母(が)、という意味で、仲がいい家庭ではなかったんですね。」
DJ「はい。」
先生「私自身もあまり家族と仲が良くなくて、ただ、進学に重きをおいている家庭であったので、そことのギャップにある時から苦しみだして、高校時代から学校にあまり行かなくなったりすることが増えてしまいました。」
先生「そうなった時に、いろんな問題がきっかけに…下地になって、長くなって申し訳ないんですけど…一つは、私が親と仲が悪くなって、当時、親同士が今でいう『家庭内別居』をしてて、専門用語を並べて申し訳ないけど、『機能不全家族』みたいな状態になっちゃって…」
DJ「機能不全家族…」
先生「それに耐えかねた僕は、年齢16歳にして区役所に離婚届を取りに行き、親に叩きつけたんですね。そんなことをしたんで、家に居れんく(居られなく)なったので、家を出ることになって。一人暮らしをして、高校に行くことになったんですけど、その後なかなか…高校の先生も『どうしたものか?』となったのでしょうね。スクールカウンセラーの先生を紹介されて、私、父、母、3人ともがそれぞれ、カウンセリングを受けることになって。『カウンセリング』というものがあるのを知ったのもそこですし、そこで大変お世話になって、家庭も先生が関わっている間はそれぞれがそれぞれにおいて、(この)状況になっていた面が感じられたので、そういったものが元々あります。あと、実は、私の身内にも精神疾患を抱えた方がいて、その状況を間近に見ていたこともありますし、そういうこともきっかけで大学の心理学部に行かせていただいたんですね。やっていくにつれて、僕がやりたいことはカウンセリングとかじゃない気がして。僕は社会心理学っていうものを大学時代に勉強していて、皆さんもご存知かもしれないですけど、『世代間伝達』って知ってます?知らないですか?(笑)」
DJ「世代間…」
先生「伝達。」
DJ「伝達…。はい。(考えながら)」
先生「知ってます?『世代間連鎖』とも言われたりします。」
DJ「うーん…なんか、用語は聞いたことがありますね。」
先生「本当ですか!元々は、アメリカのアルコール依存症患者のお宅の研究からできた言葉なんですけど、親がアルコール依存症の家庭では、子どももアルコール依存症になる可能性が高いという研究があって、すごく平べったく言っちゃえば、『親が持っているマイナス要因が子どもに受け継がれるのは何でだろう?』とかを研究してて。」
DJ「はい。」
先生「それ以外にも『成功回避動機』…今流行りではないですけど、成功をわざわざ回避する人がいるのは何でだろう?という研究をしたりとか、あとは『共依存』について。これも最近、巷(ちまた)で一般の方が知るような言葉になってきたと思うのですけど、そういうことを大学時代、研究してましてね。ホンマは(大学)院に行くはずやったんですよ。」
DJ「そうなんですか。」
先生「話が長くなって申し訳ないです。(笑)(大学)院に行くはずだったんですけど、家庭の事情で(大学)院に行けなくなってしまって、あれ?となって、就職したんですね。」
DJ「はい。」
先生「就職して、働いていたんですけど、僕と元々仲の良かった知り合いが起業されていて。その人から、『夜の仕事の人の心のケアをできる所が、もっと社会にあればいいと思う』と。」
DJ「夜のケア…」
先生「夜の仕事のケアね。僕、実は(夜の仕事を)していたことがあるんですよ。で、あなた、つまり私(竹内先生)なら、業界のことも知ってるし、心の問題についても勉強されていたから、そういう人に向けたカウンセリングができたらいいんじゃないか、ということで、後を押されまして、事務所を始めた次第ですね。だから、いろんなことが重なって…ですよね。今から2年半前に起業させていただいたんです。」
DJ「自分も漠然としているのですけど、ここに至った経緯というのは小、中(学生)時代の体験もあったのかなと今は思っていますね。」
先生「うん。それぞれの人がそれぞれの…今まであった人生の結果、今があるので。」
DJ「そうですね。」
先生「だから、それをせっかく、1回しかない人生やから、活かして、自分がやりたいことをやれるっていうことになればいいんじゃないかなと思っています。」
DJ「そうですね。一回の人生なので、どうせなら、楽しく生きたいですし。」
先生「そうですね!」
DJ「家庭のことでも、実際に他の方の家庭状況とか、赤裸々に(語ってらっしゃるのを)ソーシャルネットワークとかでよく見ますので、いろいろ、辛い気持ちをお持ちなんだなという(ことを感じました)。胸に突き刺さってくることをよく聞きます(見ます)からね。少しでも力になれることはないかと思うところですね。」
先生「そうですね。最初に話したように、事務所を開くきっかけになったのは一つではないんですね。何でもそうだと思うんですけど、きっかけが一つ(だけ)ということは本当はないと思うんですね。色んなものの積み重ねに…何かがあった末にその行動が起こる、ということなので。(たとえば)何でしょうね?たとえば僕、高校は理系なんですよ。」
DJ「はい。」
先生「心理学って、文系じゃないですか。」
DJ「えーと…。」
先生「そうなんですよ。実は文系なんですよ。」
DJ「文系なんですか?」
先生「だから、高校(は)、理系やったのに、大学は文系の受験して入ってって…変な話じゃないですか?(笑)だけど、そこで大学入る前にちょっとでも『心理学の勉強したいな』と思わなかったら、そうしていないわけで…僕は今頃、違うことをしていた可能性があるんですよね。でも、変な話、僕はそれで全然違うことをしていたら、こうやって武藤さん(DJ)とお話していることもなかったですし。そう考えたら、やったことも何か理由があるんじゃないかと思うし、その結果、何か良いものに恵まれたらいいな、と思っているのですけど。(笑)」
DJ「私もそう思っているところですね。」
先生「なるほど。」
DJ「(実際に)やってみての結果だと思っているので。皆さんと一緒に楽しみたいので(す)。」
先生「はい、そうですね。今後もそうなっていくといいですね。そう思います。」
DJ「はい、ありがとうございます。次の質問に移らせていただきたいんですけど、(質問2)『あなたにとっての居場所づくりとは何なのか』ということをお聞かせいただければと思っておりまして。」
先生「はい、分かりました。まず、人っていうものは、よく、社会では一人で生きられない、何(で)だろう?って、(という質問に対して)いろんなことをおっしゃる方がいらっしゃって、それに対して僕が評論する気は一切ないんですけど。基本的に、産まれて、家で育って…という中で、日本で生きているということは『人に関わる』ということですよね。これ、絶対です!」
DJ「はい。」
先生「だって、お母さんが(子どもを産むとき)病院に行って、(赤ちゃんをお腹から)取り上げはるのって、お医者さんやったり、看護師さんやったりするところから、人と関わりはあるんですよね。そこから学校に(中学校まで)義務教育っていうものがあって、必ず行かないといけない。中学校までは必ず出ましょうとなっているわけですね。人に関わらないといけないんですね。人に関わる、ということが当たり前にあるんですよね。その当たり前にあることっていうのは、『ホンマに当たり前であっていいのか?』という話が、まずあると思うんですよ。」
DJ「そうですね。」
先生「たとえば、中学でも高校でも大学でも専門学校でも…とりあえず何か学校を出ました、と。学校を出ると、今度は社会人として働くことがこの日本では求められるんですね。社会人として働かないっていうことは、良くない、という認識をされている人が非常に多いです。ということは、学校に行きました、学校を出ました、労働しています。ということが求められているんですね。」
先生「もっと言ったら、正社員で働いていることが求められるとか、いろいろあるでしょう。でも、平たく言いましょう。『勤労していること』が求められるんですね。働くって、なかなか一人で働く人は少ないですよね。」
DJ「そうですね。組織に位置づけられますよね。」
先生「そうですね。やっぱり、そこであえてこの言葉を使いましょう。“コミュニティーに入らないといけない”。何かしら関わらないといけない。例えば、学校やったものが会社になっただけで、その会社も、定年が日本では60(歳)、今は65(歳)、いろいろありますけど、基本的に60(歳)ですよね。言ってしまえば、人生で60年間、人と関わり続けることが求められるんですね。その60年の中で関わるのが難しくなることが出てくるのは、僕は至極当然だと思うんですね。途中の、どこの地点でつまずくかも人それぞれだし、その中で一回『難しいな』と感じてしまったときに、新しく、もう一回やってみよう!という気持ちになって、バリバリやれるか…と言うと、なかなか難しいんですね。」
DJ「そうですよね。」
先生「だけど、人と関わっていくことが求められる社会であるがゆえに、『人と関わる場』っていうのは、社会に復帰する際にはあっていいんじゃないかな、と私は思っています。人と関わる練習をする場…と言った方がいいんですかね?」
DJ「そうですね。何かしらの形を作りたいところですよね。」
先生「そうですね。」
DJ「無理なく、というところですよね。強制的ではなくて、自然的なところでしょうかね。」
先生「たとえば一例を挙げると、ある人が大学を卒業しました。就職活動をしました。就職がなかなか難しいです…という中で就職浪人みたいなことになってしまいました。その期間、大変やからバイトしましょう。(しかし)バイト先でうまくいきませんでした。3か月しか続きません。でも、親は働けと言うから違うバイト先を探して…若い間やったらバイトは通るから、どんどんバイトを変えてやっています。なかなか定着できません。どうしたらいいですか?…こんな問題もありますね。ちょっと、だらだら喋りましたけど。そこで、ずっと同じ所で働けないことを、問題だ、と考える人もいるわけですね。」
DJ「そうですね。」
先生「そのスパンでどんどん切り替えて働けてるからいいやん!という人もいるでしょう。でも、『何が正解なんですか?』と言ったら…何が正解なんですか?(笑)」
DJ「そうですね。難しいところですよね。」
先生「難しいところでしょ?」
DJ「でも、正解は一つじゃないと私は感じていますね。」
先生「たとえば一つの意見として、それを本人さんが善しとしていたらいいだろう、という考え方があります。」
DJ「はい。」
先生「本人さんが善しとしていたら…という言い方をしたのは、本人さんがどういう意図を持って善しとするか、ということが大事(だから)ですよ。」
先生「例えば、親が言うてるからそうした方がいいんかな、というのは、本人の意思といえるのか?ということですね。」
DJ「そうですね。」
先生「最後に動いているのは本人やから。でも、周りから言われてて、それを呑んでるだけだから、本人(の意思)じゃないとも言えます。それって、それぞれの家庭であったり、個人の考え方によるんですね。受け取る側もそうだし、やっている側もそうだし、そういう問題がいろいろあるんですよね。」
先生「その中で話をちょっと強引に戻しますけど、ある方がつまずいた時に社会に復帰しよう(と思ったところで)、いろんな問題がそこにある中で、そういう人たち…『社会でうまくやっていけるか難しいな』という人たちが集まって、社会に戻ろうとする手助けになる場所として、気楽に喋れたりとか、気楽に遊ぶ(とか)もそうです。それも立派な、他者との関係を結ぶために必要なものだったりとか…何か喋る、雑談とかですね。義務なく喋るとか、そういうことを通じて、社会性をもう一度、自分の中で持ってもらって、社会に出る、ということの援助になれば、と思ってやっていることが『居場所づくり』ですね。」
DJ「そうですね。」
先生「すみません。(話を)強引に戻してしまいましたね。(笑)」
DJ「いえいえ。」
先生「だから、私の事務所でやっている居場所づくりって、たとえば、一緒にみんなで出かける。その日集まった人たちと出かけていろんなもの見に行ったりもしますし、ここで(事務所で)みんなでカードゲームをしたりとか、お茶を飲んで、いろいろ喋ったりとかもするし、みんなでゲームしたりもします。それが何のために必要なのか?…という話になったら理解が難しい方もいると思うのですけど、僕らはそういうことを通じて、人間関係の形成の練習になるんじゃないかなと思っています。」
DJ「はい。意義があることだと思いますし、何らかの形でコラボできればと思っています。」
先生「(笑)」
DJ「(質問3)今後の展望…(をお聞きしてもよろしいでしょうか?)」
先生「それは、事務所としてですか?私としてですか?両方?!」
DJ「両方です。」
先生「なるほど、分かりました。まず、事務所としては細々ながら、『続ける』ってことが大事だと思うので、続けていければいいと思ってます。大きなことはいらないので、そんな大きなことをするのではなくて、細々と続けていければいいなと思うし、いろんな、僕が『おもしろいなぁ』と思えるようなことをいろいろな形でやれるように(と思っています)。すごくざっくりしていますけど、そんな形でいいと思っています。それが事務所の展望で…私(個人)としてはいろんなことを勉強したいと思っています!変なことを言い出しますけど、将来的に大学院行きたいなと思っていますし、興味、関心をいろんなものに持ち続けて、いろんなことを知って、いろんなことを勉強して、より成長できたらな…というのは思っていますね。」
DJ「(すごい)貪欲で。」
先生「貪欲ですか?(笑)だって、例えばですけど、そこで私が勉強したら、私がやっている事務所やし、それが利用者にとって、還元にもなるっていうのは一つ(の理由)ですけど…それだけじゃなくて、自分の人生やから、いろいろ知ってた方がいいやん!と思うのですけどね。(笑)(この仕事を)やってて思うのは、うちの事務所は、今はこうやって事務所という形でやってますけど…ややこしい話かもしれないですけど、今は『個人事業』という形でやっていますけど、ホンマはうちの活動って、NPO法人さんがやってはったりとか、(そういった)団体さんがやっていることに近いので。そういう改組とかは有り得るかもしれないですけど、こういうこと(活動)は続けていければなと思っています。何ですかね。(笑)」
DJ「人生における勉強だなと感じましたし、すばらしい展望を聞かせてもらいました。」
先生「あはは(笑)」
DJ「質問コーナーでした。」お便りコーナー
DJ「お便り(を)2通いただいておりまして。」
先生「ありがたいことです。」
DJ「はい、ありがとうございます。テーマについてのお便り…今回“ひきこもり”というテーマでさせてもらっているのですけど、読ませてもらいたいと思います。ラジオネーム、『あきこ』さんから来ております。」
DJ、先生「ありがとうございます。」

あきこさんからのお便り
私の先入観ではひきこもりのかたは心になにか生きづらさを抱えていらっしゃるように思います。
でもそれだけではなくてなにかを達成するためにひきこもりをされているかたもいらっしゃいます。
このようにひきこもりをなさるといっても彼らにはなにか目的があってなにかを達成するためという意向もあるのではないかと感じました。

先生「なるほど!これはなかなか、面白い意見だと思いました。」
DJ、先生「うん。」
先生「私が思うのは、ひきこもりをしたくてやっている人はどれだけいるのか…という話ですね。」
DJ「うーん。(考える)」
先生「難しいこと言いますけど、『ひきこもりをしたい』という中で、何か『理由があるから』ひきこもりをしたいとかは全然有り得るんですよ。」
DJ「うーん。」
先生「だけど、その『何か』の理由がなければ、ひきこもりを続ける人っていうのは減るんですね。」
DJ「はい。」
先生「例えば、学校でうまくいかなかった…、人間関係が難しく感じているから…、家から出たくないから…、(だから)ひきこもりになったとか。そこの人間関係がうまくいっていれば、ひきこもりになっていましたか?という話で。当事者自身の方は想像しづらい面もあると思うのですけど、実際、うまくいってたら、ひきこもっていたか?と言うと謎です。」
DJ「そうですね。」
先生「(ひきこもりを)していなかったパターンもあり得ると(いうことですね)。」
DJ「うーん。(考える)」
先生「あきこさんのおっしゃっているように、ひきこもりの方っていうのも何か目的があって、何かをするために、達成するために…っていう話が書いてあるんですけど、何か目的というものを持ってる方もいらっしゃるんです。例えば、私の扱った案件で、(他人に)話してもいい案件の話をすると、(その人は)ひきこもっていました。社会に出ようかなと思っています。ちょっと、働きだしました。(けど)ちょっと(だけ)、働いて辞めたんですよね。何でやろうなあ?と思って、喋ってみたら、お金を貯めた、ということで免許を取りたかったから免許を取りに行きました…と。これが一般社会に出ると、そんなん、働きながら免許を取りに行ったらいいやん、という人が多いんですよね。だけど、『彼はお金を貯めて、免許を取る』という目標を作った中で、まずお金を貯めるために働こう!と思った訳ですよね。お金が必要額貯まったんで、よし、仕事を辞めよう。と思って辞めました。(それで、)免許を取りに行きました。たとえば、それは今の話で言うと、彼が彼のために、彼のプラスになるように考えて組み立てた目的、目標ではありますけど…それを『親のため』って(彼が)考えるかと言うと、僕はちょっと難しいところがあると思うんです。こちらのあきこさんのおっしゃっているように、何かを親に還元するところまでいくかというと、相当難しいと思うんです。精神科医の斎藤 環(さいとう たまき)先生がおっしゃっていたそうなんですが、ひきこもりの子が将来、親の介護(を)する可能性が低い、という話をしていたことを伝聞で聞いて、なるほどなと思ったんですね。実際、僕もそれを聞いてから、自分の持っている案件を当事者さんに聞いたら、なかなかみんな、想像ができない、しないという人が多かったです。僕が聞いた人、全員でした。僕の周りがたまたまそうだったのかもしれないですけど。結局、ひきこもりの子たちというのは、『援助される』側がずっと続いていることが多いですね。自分が『援助する』側に回るということをひきこもっている時に想像すること、もしくは、ひきこもりから社会に復帰してから援助する側に回るということが難しい人もたくさんいますね。」
DJ「うーん。(考える)」
先生「今回のあきこさんの話で言うと、何かを達成するためにひきこもっているという話になると、そういう方もいらっしゃるかな…と思うんですが、実際、本人たちが解決しないといけないことっていうのは、本人自身が『自分の問題である』と感じていること、っていうのも大いにあると思いますね。だから、おっしゃっていることも一面ではある反面、他の面もある、ということが僕の意見になります。」
DJ「そうですね。」
先生「はい。」
DJ「他のお便りもいただいております。『いきものがかり』さん(から)ですね。」
先生「ありがとうございます。」
DJ「ありがとうございます。」

“いきものがかり”さんからのお便り
引きこもりを経験し、多くのことを学べたと思っています。
自分はいじめを経験し、そのことで引きこもりになりました、多くの心の傷が自分自身を動けない状況にしていたのを今感じています、引きこもりは多くの辛さや生きづらさの中で自身の葛藤があると自然と心は、動けなくなってしまうようになるように思います。
親や家族はその状況に対して、批判したりすると思うのですが、自分は引きこもりをしてよかったと思っています。
多くの心の傷と向き合うきっかけを作ったことで、見えてくるものも多くありました、引きこもりは生きることへの休憩地点と自分は感じています。
大きな一歩の前に少し休憩をして、また一歩前にでるための、、ゆっくり休憩をして前に出たときは、大きな喜びや新たな自分も見えたりするような気もしています。
今は引きこもりが多く社会では考え方が異なっているのかもしれないと思うのですが、経験を通して多くのことを学べたと思う自分は大事な時間だったと今は感じています。

先生「なるほど!この方は当事者やったんですね。」
DJ「そうですね。」
先生「なるほど。いじめを経験されて…という理由でひきこもりになられる方というのは、やはりおられますね。自分の持っている社会…『学校』という社会が考えられるのですけど、職場かもしれないですけど、自分の行かなければならないコミュニティでいじめを受けると、社会に出るのが嫌だ、となっちゃって、ひきこもりになる方がたくさんおられますね。そこで、ひきこもりになる人、ならない人というのがいます。たとえば、他の学校に行く人とか違う環境に身を置く人、いろんな中で、『ひきこもりになる』という選択肢があるんですね。何でひきこもりになる選択肢が多いと思います?」
DJ「周りに対しての抵抗…」
先生「うんうん。」
DJ「という考え方ですよね。」
先生「うん、そうですね。たとえば、自分の行かなければいけないコミュニティでトラブルが起こって、新しいコミュニティでトラブルが起こらない保障ってない訳じゃないですか?!」
DJ「そうですね。」
先生「新しいコミュニティに行こう…なんて、考えるのがなかなか難しいことなんですね。よく当事者の方が言う言葉でいうと、『エネルギーがいる』ということですね。」
DJ「はい。」
先生「そしたら、新しい関わりを持たずに…『クローズドコミュニティ』、関係を持たないようにしてしまった方が、自分にとっては楽だと考える訳ですね。」
DJ「うーん。(考える)」
先生「やっぱり、精神的にかもしれないですし、何かしら抱えているところがあるので、家で回復させたい、と思うんですね。だから、いい意味で家にいらっしゃるわけなんですね。その中で自分の安心できるスペースとして、自分の部屋があったり、自分の家があったりして、その中で過ごすことによって、回復させるという考え方があったりするんですね。そこ(自分の部屋、家など)で落ち着いてしまうと、今度は社会復帰が難しくなるというのも一つ…実際問題としてありますけど、でも、そこで回復させる期間というのは、僕はあってもいいと思うんですよ。」
DJ「はい。」
先生「こちらの方(いきものがかりさん)が書いていらっしゃいますが、『多くの心の傷が自分自身を動けない状況にしていたのを今、感じています』と書いてあるんですけど、それって、最後は本人さんの問題なんですよね。その多くの心の傷というのが他者から見えるか?というと、想像でしかないんですよ。」
DJ「はい。」
先生「本人さん自身もその時、場合とか、その時の感情とかでその物事、その体験とかを振り返られても、考え方が変わることが多々あるし、物事との距離の置き方もそうだし、いろんなことに対しての変動が起こります。なので、『動けない状況だ』って感じはったんやから、動かなかったらよかったんやなと思いますね。」
DJ「お便りのほう、ありがとうございます。」
先生「ありがとうございます。」
DJ「今回、お時間を割いていただきまして、ありがとうございます。」
先生「いえいえ、とんでもないです。」
DJ「(今回、)事務所の方におじゃましております。」
先生「いえいえ、聴いている人で(事務所を)見に来たい人がいれば、全然来てください。(笑)僕みたいなんでよかったら、お相手させていただきます。」
DJ「ありがとうございます。悩みを聴いていただきまして、心強いなと思いました。」
先生「(笑)とんでもないです。」
DJ「また機会がありましたら。」
先生「よろしくお願いします。」
DJ「お願いします。はい!竹内さんでした。」
先生「ありがとうございました!」
DJ「ありがとうございます!」
(拍手で締めくくる)